2023/09/05 国交省・和田信貴事務次官/経済対策で公共事業費確保、建設業関連制度の改善着実に

【建設工業新聞  9月 5日 1面記事掲載】

7月4日付で就任した国土交通省の和田信貴事務次官が日刊建設工業新聞など専門紙各社と会見し=写真、今後の施策方針を語った。当面は政府が今秋に検討している経済対策の策定とその財源になる2023年度補正予算の編成をにらみ、防災・減災、国土強靱化対策を柱とする十分な公共事業関係費の確保に意欲を示した。建設業行政の課題には24年4月から建設業に適用される時間外労働の罰則付き上限規制への対応と、同省の審議会で議論している建設業法などの見直しと適切な運用を挙げた。

公共事業関係費は、23年度補正予算の編成を視野に「経済対策をする機会があれば公共事業をしっかり行う必要がある」と指摘。経済対策策定や補正予算編成が実現した場合、これまで先行3カ年分の財源を補正予算で計上してきた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が公共事業の柱になるとの考えを示した。

24年度の公共事業関係費は、概算要求で事項要求した国土強靱化5か年加速化対策や防衛体制の強化に関連したインフラ整備に重点計上する方針を表明。国の成長をけん引する交通網のようなインフラ整備やGX(グリーントランスフォーメーション)の柱とする洋上風力発電、ハイブリッドダムなどの推進にも意欲を見せた。

建設業行政の課題に挙げる時間外労働上限規制への対応では、「週休2日を徹底するだけでクリアされるわけではない」と指摘。その上で「(受発注者双方が)今までのやり方だけにとらわれず仕事を進めるよう徹底したい」と訴えた。

中央建設業審議会(中建審)と社会資本整備審議会(社整審)産業分科会建設部会合同の基本問題小委員会が近くまとめる「中間とりまとめ」にも言及。建設業が直面する担い手確保や資材高騰といった課題に対応し、▽請負契約の透明化による適切なリスク分担▽賃上げ▽働き方改革-の三つのテーマに沿って「最終的にしっかりと制度化していきたい」と述べ、必要な法令や運用の見直し、予算措置を講じるとした。

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