2023/09/07 建設関連会社/防衛施設向け技術開発に注力、国の予算増額が背景・展示会も盛況

【建設工業新聞  9月 7日 3面記事掲載】

国の防衛予算が増額されたのを受け、ゼネコンや設備メーカーなど建設関連各社が防衛施設に応用できる技術の開発や周知に力を入れている。3Dプリンターを使った建築工事の省力化など既存技術について、防衛分野への活用に向けた動きが活発化。東京都内で開催された防衛施設に関する展示会には「例年以上の出展申し込み」(主催者)が集まった。

6日、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ケ谷で開かれた「第17回ミリタリーエンジニアテクノフェア」(防衛施設学会主催)にはゼネコンや設備メーカー、建材メーカーなど42の企業・団体が出展した。同フェアは防衛施設への応用が期待できる技術を産学官の関係者に共有してもらうことを目的に開催される。

同学会の担当者によると、今回は多数の出展応募を受け、ブースを設けずに技術紹介を行うサブ会場を従来の1部屋から2部屋に増やして対応した。来場者数も事前登録の状況から例年を上回る見込みで、「近年になく盛況だ」という。背景には、国が示した防衛予算の増額やコロナ禍に伴う行動制限がなくなったことがあるとみている。

建設会社では▽JFEエンジニアリング▽村本建設▽前田建設▽熊谷組▽三信建設工業▽安藤ハザマ▽ガイアート-らが出展。前田建設は、自衛隊や米軍で使われる消火薬剤などに含まれる「PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)」と「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」を吸着処理する可搬型システムを紹介。水中に残りやすい化学物質のため、環境対策設備として需要を見込む。

設備・建材メーカーでは▽太平洋セメント▽オリエンタル白石▽日本ヒューム▽LIXIL▽日鉄建材-らが出展した。このうち工場や空港の門扉を手掛ける応緑(兵庫県姫路市、河越祥郎代表取締役)は国際規格に準じた「耐衝撃高強度ゲート」の模型を使ってアピール。営業担当者はテロ対策として、自衛隊が共用する空港やデータセンターへの納入実績が増えていると自信を見せた。

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