2023/10/02 全建調査/技術者の長時間労働改善急務、工事関係書類作成が負担に

【建設工業新聞  10月 2日 1面記事掲載】

建設業界で働く人のうち技術者の労働時間が長くなる傾向にあることが、全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)の調査で分かった。背景には作成する工事関係書類が多いことも判明した。2024年4月に迫る時間外労働(残業)罰則付き上限規制の適用開始まで残り半年を切った中、技術者の時間外労働削減には発注者の理解と対応が欠かせない。4日の関東甲信越を皮切りに全国9地区で開く国土交通省との23年度地域懇談会・ブロック会議では、会員企業の大部分が主力とする公共工事で速やかな改善を求めていく。=2面に関連記事

調査は「働き方改革の推進に向けた取り組み状況等に関するアンケート」として毎年実施。最新の23年度版は会員1万8494社のうち3146社が、7月1日時点の取り組み状況を答えた。

今回初めて現場や事務所で働く人の1カ月当たりの平均残業時間数を技術者や技能者、事務職別に調べたところ、上限規制原則規定の45時間を超えていた割合は、監理技術者ら現場配置の技術者が18・8%(現場配置)、現場技術者をサポートする事務所配置の技術者が20・6%だったのに対し、技能者は9・9%、事務職は3・7%にとどまる。

時間外労働が多くなる理由を確認した結果、複数回答で「作成する書類が多すぎるため」が71・9%(現場)~63・7%(事務所)と最多。次いで「人員が不足しているため」67・7%(同)~40・7%(同)の順に続いている。

前年同時期の前回調査に続き、全建が展開する働き方改革の推進方策「目指せ週休2日+360時間(ツープラスサンロクマル)運動」の取り組み状況もフォローアップした。週休2日相当の「おおむね4週8休」を現場で29・9%(前年度比7・9ポイント上昇)、事務所で58・2%(3・6ポイント上昇)と進展している。

年間休日日数も改善。厚生労働省が集計した直近22年4月1日時点の労働者平均(115・3日)を上回る「116日以上」が現場で16・0%(5・7ポイント上昇)、事務所で36・2%(2・9ポイント上昇)となった。

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