2023/10/10 政府経済対策の国交省関連施策案、強靱化の財源確保へ/賃金行き渡り担保策も

【建設工業新聞  10月 10日 1面記事掲載】

政府が月内にまとめる新たな経済対策に盛り込まれる国土交通省関係施策の案が明らかになった。対策実施の裏付けとなる2023年度補正予算の編成を念頭に、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の4年目となる24年度分の財源確保を目指す。建設業関係では持続的な賃上げを実現するための「賃金行き渡り」の担保策や、「建設業の2024年問題」の解決に向けた措置を講じる方向で検討する。

岸田文雄首相が提示した▽物価高から国民生活を守る▽地方や中小企業を含めた持続的な賃上げ▽国内投資の促進▽人口減少を乗り越える社会変革▽国土強靱化など国民の安全・安心確保-の5本柱に沿って具体的な施策内容を詰める。政府は20日に臨時国会を召集する方針。対策策定後、速やかに補正予算の編成に入り、臨時国会に提出する考えだ。

国土強靱化対策と、省エネ住宅の普及を後押しする「こどもエコすまい支援事業」が予算措置を目指す主要施策となる見通し。強靱化対策として流域治水の取り組みや、災害時の物流・人流ネットワークの機能強化を推進。持続可能なインフラメンテナンスの実現に向け「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の考え方に基づく新たな動きも加速する。資材価格高騰が続く中、公共工事の十分な事業量を確保できるかどうかも焦点となる。

建設業者の賃上げにつなげる観点で、中央建設業審議会(中建審)と社会資本整備審議会(社整審)合同の基本問題小委員会が先月まとめた「中間取りまとめ」を踏まえ、適正な賃金が技能者に行き渡っているかどうか「見える化」する手段を検討する。

具体的には賃金実態を確認できるような建設キャリアアップシステム(CCUS)のシステム改修を視野に入れる。

半年後に適用する時間外労働の罰則付き上限規制への対応に課題を抱える建設会社の実情を踏まえ、各社の生産性向上や業務改善の支援につながる措置を検討。建設分野の技術開発に取り組むスタートアップ企業の支援策も盛り込む。

少子高齢化に備えた社会変革の一環でインフラ分野などのDXを推進。「建築・都市のDX」やスマートシティーの展開も視野に入れる。半導体工場などの投資拡大に向けた戦略的・計画的なインフラ整備、インバウンドの回復を踏まえた観光推進や地方誘客促進などの施策メニューも示している。

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