2023/10/13 関東整備局江戸川河川/除草にGNSS盛土締固管理活用、DXプロジェクト初弾

【建設工業新聞  10月 13日 5面記事掲載】

関東地方整備局江戸川河川事務所(守安邦弘所長)は、GNSS(全球測位衛星システム)利用の盛り土締め固め管理システムを使った堤防除草作業の実証試験を始め、11日に埼玉県三郷市の現場で見学会を開いた。業務・工事を効率化し、行政サービスの高度化も目指す事務所の「江戸川DXプロジェクト」の初弾の取り組み。試験は河川維持工事を受注した金杉建設(埼玉県春日部市、吉川祐介社長)と行っている。

GNSS利用の同システムを堤防除草に生かすのは関東で初めてになるという。実証試験は三郷出張所管内の江戸川の河川維持工事で進める。堤防除草は施工範囲が広く、作業の準備や出来形の確認に受発注者の多くの労力が伴う。夏季の厳しい労働環境や、熟練のオペレーター・作業員の減少といった課題がある。

事務所は、デジタル技術などとともに河川流域のさまざまな情報を立体的に示す3D河川管内図を駆使することで、作業の省力化と出来形管理の効率化を実現しようと実証試験を行うことにした。

金杉建設は事務所発注の「R5三郷・吉川河川維持工事」で、DX活用の除草作業の実施を提案した。同社は、GNSS利用の盛り土締め固め管理システムを後付けしたハンドガイド式草刈り機と、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の枠組みで開発した各種センサー装備の大型自律走行型草刈り機を投入した。

3D河川管内図から作業範囲の座標を抽出し、3D設計データを作成。自律走行型草刈り機の作業範囲のプラグラミングや軌跡データの作成・保存、オペレーターがモニターから作業履歴などを確認しながら行えるハンドガイド式草刈り機で除草する。出来形はデータで保存する。同社は「ICT除草」と呼んでいる。

受注した河川維持工事の施工延長は約20キロ。同社は▽測量▽施工計画▽施工▽検査-の時間を従来の除草とICT除草で比較したところ、従来除草は計約1500時間となるのに対し、ICT除草は計221時間で85%の時間削減になると試算している。1人6時間を人員ベースにすると、213人工の削減になる。

省力化や省人化の効果に加えて、渇水期と出水期それぞれの作業の効率化、施工範囲の明確化と除草の精度の向上も見込める。モニターからの支障物確認や、自律走行型の自動停止の機能により安全性が高まる。

金杉建設の担当者は「作業の時間、人員を縮減できる」と手応えを示す。特に作業前の測量を1000時間近く減らせる効果を強調した。同社は現場近くで「R4江戸川左岸松戸地先河道掘削工事」も進めている。3D河川管内図を浚渫工事に利用。同社の女性監督員は「(負担が減り)3D河川管内図は女性の活躍を促すことになる」と話した。

見学会は江戸川右岸24キロ地点付近となる新和地先の堤防で開いた。関東整備局管内の事務所や三郷市の担当者ら約30人が参加した。関東整備局技術エキスパート研究会の近藤誠河川管理部会長(利根川上流河川事務所副所長)は「維持管理は地味だが(最新技術で)いいものができる」と述べた。齊藤勝紀江戸川河川事務所副所長は「(担い手となる)人が少なくなっていく。期待は大きく官民連携で進めたい」とDXプロジェクトに意欲を示した。

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