2023/10/27 東京都内路上工事、実作業時間4時間程度/全中建が上限規制厳守で試算

【建設工業新聞  10月 26日 1面記事掲載】

東京都内の路上工事で時間外労働上限規制を順守するには1日当たりの実作業可能時間がわずか4時間程度に限られることが、全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)の調査で明らかになった。作業前後の準備や後片付け、書類整理などの時間を考慮した場合、技術者で3時間41分程度、技能者で4時間23分程度にとどまると試算。全中建は国土交通省に対し作業実態に沿った標準歩掛かりの見直しや余裕ある工期の設定などを求める方針だ。=2面に関連記事

調査は昨年10月に会員企業に実施。25日に東京都内で開いた全中建と国交省による2023年度ブロック別意見交換会で、東京都中小建設業協会(都中建、渡邊裕之会長)と全中建多摩(若林克典会長)が報告した。

調査の対象工事は東京都内で行われる舗装や上下水道管敷設といった路上工事。1日当たりの作業時間を午前8時~午後5時から休憩1時間を除いた8時間と定義し、技術者・技能者の現在の平均労働時間と、1日8時間労働を厳守した場合の平均労働時間をそれぞれ算出した。

その結果、現在の平均労働時間は技術者・技能者とも6時間47分。8時間労働を前提とした標準歩掛かりに対し、約15%も低い稼働率になった。背景には作業前のミーティングや準備、道路規制設置、作業後の片付けや規制撤去に1時間13分発生している状況がある。資機材などの置き場との移動や翌日の段取りに要する時間は技術者が3時間06分、技能者が2時間24分の残業が発生している。

1日8時間労働を厳守した場合、技術者・技能者の実作業可能時間は4時間前後にまで短縮する。官民を挙げて賃上げを柱とする処遇改善に取り組んでいる中、業界側は標準歩掛かりの変更によって約45%(技能者)~約54%(技術者)の賃上げが可能と試算。さらに1日当たりの施工量が低下するため工期の変更も必要になると指摘する。

全中建の関係者によると、都内の路上工事現場で算出した今回の結果は非公開の全国平均でもほぼ変わらないという。

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