2023/10/30 国交省/直轄営繕工事価格5年で2割上昇、所要の予算確保を

【建設工業新聞  10月 30日 2面記事掲載】

国土交通省は官庁営繕事業の標準的な庁舎新築工事をモデルとした場合、この5年間で工事価格が2割近く上昇しているとの試算結果を明らかにした。積算に用いる資材単価や公共工事設計労務単価が上昇した影響が大きく、秋月聡二郎官房官庁営繕部長は「所要の予算を確保し、必要となる事業をしっかり進めていくことが必要」と訴える。地方自治体発注工事でも資材などの実勢価格を適切に反映した形で予定価格の適正化を後押しするため「営繕積算方式」の活用などを引き続き働き掛ける。

自民党の国会議員でつくる「官公庁営繕を考える議員の会」が24日に開いた総会で試算結果を説明した。2019年度と23年度に同じ内容(RC造4階建て延べ3000平方メートル規模の庁舎)の新築工事を実施すると仮定し、その間の資材価格や労務費の変動を踏まえ工事価格を積算。直接工事費のうち材料費が22%増、労務費が14%増となり、共通費を含めたトータルで19%増となった。

秋月部長は24年度予算の概算要求内容を説明する中で、この試算結果に触れながら「資材価格上昇の影響も踏まえつつ、事業を着実に推進するために必要十分な予算の確保に向け、しっかりと財政当局に説明していく」と述べた。

これ以外の資材高騰を踏まえた対応として、公共建築工事積算基準とその運用に関するさまざまな取り組みをパッケージ化した「営繕積算方式」の活用マニュアルの普及を引き続き推進。適正な予定価格の設定や適切な設計変更の取り組みを地方自治体にも波及させる。営繕工事の契約後に数量に疑義が生じた場合、受発注者間の変更協議を円滑に行うための「入札時積算数量書活用方式」は都道府県・政令市67団体のうち15団体が採用済みだが、さらなる導入を促す。

議員の会の総会では23年度補正予算の編成に当たって「価格高騰などにも配慮すること」を政府に要請する内容を含む緊急決議を採択。自治体の発注の適正化が急務と指摘し、営繕積算方式の活用や入札時積算数量書活用方式の導入を求めていくことも決議事項に盛り込んだ。

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