2023/11/02 全建ブロック会議を振り返る・中/上限規制順守へ適正工期設定を、書類削減など急務

【建設工業新聞  11月 2日 1面記事掲載】

時間外労働の上限規制が建設業に適用される2024年4月まで5カ月を切った。群馬県建設業協会の青柳剛会長は「持続可能な建設業へと踏み出すため、具体的な方策を提示しなければならない大事な時期」と強調。上限規制を順守するためには「工期、コスト、生産性向上の3点がかみ合うことがポイントになる」との考えを示した。

将来にわたる担い手の確保・定着に向け、今の若者が職業選択で最も重視するという週休2日を当たり前にし、平日の残業や休日出勤も減らしていく--。各都道府県建設業協会は一丁目一番地の施策として、上限規制に対応した適正工期の設定を求めた。

全国建設業協会(全建)は9月、国の中央建設業審議会(中建審)が20年7月に作成・実施勧告した「工期に関する基準」に基づいて見積もりや提案を行う「適正工期見積り運動」を開始。背景には週休2日工事などの対策が国や都道府県で進む一方、市町村や民間事業者の発注工事で遅れている状況がある。

週休2日工事について福岡県建設業協会の黒木篤会長が「市町村では未導入の自治体が多く、費用の補正についても不十分との意見が多数ある」と述べるなど、各地区の会議では団体首脳がそろって市町村への導入拡大とともに、働き方改革に対応した現場管理費の割り増し補正や積算基準の抜本見直しを求めた。民間事業者に対しても、多くの業界関係者が国による強い指導を要請した。京都府建設業協会の小崎学会長は「工期を算定する建築設計事務所の理解も重要」と問題提起した。

上限規制の順守で障壁となるのが技術者の時間外労働を招く工事関係書類の作成だ。全建の7月1日時点の調査によると、会員企業に勤める技術者の1カ月当たり平均残業時間が上限規制原則規定の45時間を超えていた割合は約2割。時間外労働が多くなる理由も確認したところ、複数回答で「作成する書類が多過ぎるため」が最多の約7割に上る。

群馬建協は、青柳氏が発案した現場作業の実質的な工期に書類作成時間など事務作業分を上乗せする「書類作成工期」の設定を要望。国土交通省側も工事書類削減が課題になるとの認識を示した。その上で「皆さんの意見も踏まえ不断の努力をしていきたい」(橋本雅道官房技術調査課長)と回答。近畿地方整備局は年内に書類作成のさらなる簡素化に向けマニュアルを見直し、新たに関係者に周知するためのパンフレットを作る方針を明らかにした。

上限規制適用まで待ったなし。ブロック会議を終えた全建の奥村太加典会長は、全建以外も含めオール建設業での働き方改革のさらなる機運醸成と取り組み加速を訴えた。

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