2023/11/15 上場ゼネコン大手4社/23年4~9月期決算、全社増収も利益は建築工事採算で明暗

【建設工業新聞  11月 14日 1面記事掲載】

上場ゼネコン大手(鹿島、大林組、清水建設、大成建設)の2023年4~9月期の連結決算が13日に出そろった。大型案件の順調な進捗(しんちょく)などを背景に4社とも増収。本業のもうけを示す営業利益は鹿島が伸ばしたが、残り3社は前年同期を下回った。低採算の手持ち工事が建築の利益率を押し下げているケースもある。通期の単独受注高は3社が前期比で減少する見通し。24年4月からの時間外労働の上限規制適用を見据え、施工能力を勘案しながら採算性重視で受注活動に臨む方向だ。

23年4~9月期の連結売上高は、国内外で大型工事が進捗した大林組と、大型建築案件が竣工した清水建設が、上期として過去最高を記録した。

単体の完成工事総利益(粗利益)率は、鹿島が前年同期から改善し、引き続き2桁を確保した。建築の粗利益率を見ると、鹿島が「大型竣工工事を中心とした損益改善」を理由に、前年同期比1・1ポイント増の9・8%となった。

清水建設は同3・3ポイント減となる1・7%に、大成建設は同4・8ポイント減の1・1%に落ち込んだ。「大型建築案件で工期厳守のための追加費用がかなり増えた」(清水建設)、「受注環境が厳しかった低採算工事の割合が高まった」(大成建設)ことが要因。ただ、両社ともその後の受注時採算は好転しており、通期では改善する方向だ。

受注面では、鹿島が、国内外で複数の大型工事を獲得し、連結受注高が上期として過去最高の記録。今後も半導体工場など複数の大型工事の受注を予定しており、期首予想を上回る見通しだ。

通期の連結業績予想は、鹿島と清水建設、大成建設が増収営業増益を見込む。今後に向けては、「建築、土木とも引き続き、生産キャパシティーを勘案しつつ採算性を重視した受注活動を展開する」(大林組)方向で共通する。大型案件では厳しい競争が続いているとの見方も強い。協力会社を含めた施工体制の確保に配慮しながら、目の前にある堅調な需要に向き合う状況が続きそうだ。

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