2023/11/20 国交省/働き方改革へモデル事業、業種別の課題に対応・工程管理や元下調整円滑化

【建設工業新聞  11月 20日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業の特殊性を踏まえた働き方改革を後押しするため、建設現場の工程管理や元下間の調整に起因する課題の解決に乗り出す。さまざまな専門工事の業種・工種ごとに特徴的な課題を抽出した上で、より効率的な施工を目指した取り組みを実際の個別工事で試行的に行う。モデル工事を複数選ぶ方向で2023年度補正予算案に関連経費2億1000万円を計上。専門工事業団体などとも連携しながら、年度内にもモデル工事の募集・選定手続きに入る見通しだ。

時間外労働の罰則付き上限規制の適用に伴う「建設業の2024年問題」への対応策として補正予算案に盛り込んだ。

同省は休日取得に必要な工期の確保などの対策を講じてきたが、上限規制の適用が半年を切っても多くの建設会社が対応に苦慮する現状にある。そこで長時間労働を強いる建設業特有の要因として、元請の下で多くの下請が順に入れ替わりながら工事が行われることによる諸問題に着目。業種ごとに発生している元下間の調整がうまくいかない事例などを踏まえ、工程管理を円滑化する方策を検討し、有効な取り組みを水平展開したい考えだ。

まずは業種別に専門工事業団体などと連携し主要な課題を抽出する。例えば空調や電気の設備工事、内装仕上げ工事などは前工程の遅れでしわ寄せを受けやすく、より綿密な工程調整が必要。移動式クレーンを現場まで運転する回送時間や待機時間が長く発生している建設揚重業(クレーン建設業)のように特殊な事情を抱える業種もある。

こうした具体的な課題の解決につながる取り組みを現場で実践するモデル工事を募集する。募集対象は公共工事と民間工事を問わない。選定数は数十件に上る予定。各工事で解決策に充てる費用を支援する。

現時点では工程調整に必要なICTツールなどの導入経費、現場管理に精通する専門家などのアドバイザー派遣経費、業種ごとの課題に合わせた試行的取り組みの掛かり増し経費などに充てることを想定している。

モデル工事の成果は事例集の作成や説明会の開催を通じ一般化し、広く普及を促していく方針だ。

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