2023/12/12 国交省/工事書類スリム化を全面展開、各整備局で23年度内にルール策定

【建設工業新聞  12月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は工事関係書類の簡素化や電子化による「スリム化」の取り組みを2024年度から全面展開する。本省がスリム化のポイントを集約した6項目を提示し、これに基づき各地方整備局で受発注者のルールを明確化したガイドラインやリーフレットを本年度内に作成する。地域の建設業団体などと協力し「一緒に作り上げる」(官房技術調査課)ことを重視することで、各整備局で作成したガイドなどを受発注者の隅々まで展開したい考えだ。

24年4月に適用する時間外労働の上限規制に対応し、同省がパッケージ展開する工事関係書類の業務削減に向けた五つの支援メニューの一つと位置付ける。

本省がまとめた6項目のスリム化のポイントは▽工事書類の原則電子化(ASP〈情報共有システム〉活用)▽受発注者間で作成書類の役割分担を明確化▽作成・添付が不要な書類の明確化▽書類の二重作成・提出の防止▽検査書類限定型工事の活用▽遠隔臨場の活用による段階確認・材料確認・立ち会いの効率化。本来ならば発注者が行うべき書類の作成を受注者が担っている現状の是正など、受注者側の指摘や要望を踏まえた対応も図る。

これに基づき先行する関東整備局なども含めてガイドラインやリーフレットの作成・改定に取り組んでもらう。リーフレットを冊子にし、各種会議や事務所で配布。受発注者が互いに所持することで認識を共有する。例えば近畿整備局は年内をめどに作成すると表明している。

完成工事で必要になる工事検査書類を従来の44種類から3割減の10種類に限定する検査書類限定型工事は、受発注者協議を前提とした運用から「原則実施」に切り替える。監督職員と技術検査官の重複確認の廃止を徹底し、受注者による説明用資料などの書類を削減する。年度内に実施要領の改定を想定している。

これ以外の支援メニューとしてウイークリースタンスは適用対象を全ての工事と業務に拡大。業務時間外の作業や打ち合わせなど仕事に関する連絡や期限設定は行わないよう徹底する。工事実施に必要な書類作成の外注経費などの実態を本年度の諸経費動向調査で把握し、積算の適正化も検討。自治体工事との連携も強化し、九州・沖縄ブロックで先行している工事関係書類の標準化に向けた取り組み事例を水平展開する。

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