2023/12/27 国交省/監理技術者の柔軟な休暇取得可能に、23年度内結論・在籍出向や遠隔管理も

【建設工業新聞  12月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は現場技術者の担い手不足や働き方改革に対応するため、監理技術者や主任技術者の職場環境の改善や配置規定の合理化につながる施策について本年度末までに結論を出す。柔軟な休暇取得や遠隔施工管理の活用、現場業務のバックオフィス支援などを適切に行えるような制度への見直しを検討。企業グループ内の「在籍出向技術者」の配置を認める特例の範囲をどの程度拡大すべきかも含め、有識者らに意見を聞いた上で詳細を詰める。

22日に「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」(座長・小澤一雅東京大学大学院工学系研究科特任教授)での議論を1年8カ月ぶりに再開した。間近に迫る時間外労働の罰則付き上限規制への対応と、政府の規制改革実施計画に基づき本年度内の措置を目指している在籍出向の取り扱いを「早期に検討すべき短期的な課題」と位置付け集中的に審議。現行の監理技術者制度運用マニュアルや通知規定を必要に応じ改定する。

働き方改革には監理技術者などの専任制度の取り扱いの明確化で対応する。育児などを含む休暇取得や勤務間インターバル制度の活用を柔軟に行えるよう見直す方向で、有識者らの賛同を得た。カメラや通信機器の高度化を踏まえた遠隔施工管理の在り方では「現場で見ることも大事」との意見も出ており、現行規定をどう見直すべきか落としどころを探ることになる。

バックオフィス支援は現場業務の一部を社内の別部署や新規採用の建設ディレクターに任せるような形で具体的な活用例が増えている。マニュアルの関連規定の書きぶりを見直す必要性を指摘する声があった。

在籍出向技術者の配置は「企業集団制度」として親会社と連結子会社の間に限定し特例を認めている。経済団体や民間企業からは▽同じ親会社の連結子会社間▽持分法適用会社と親・子会社間-の2通りで緩和要望があり、親会社と子会社のどちらも経営事項審査(経審)を受けていない場合に配置不可となる運用の見直しも求められている。

有識者からは持分法適用会社を親会社と一体的な連結企業と認めるには慎重な意見があった一方、それ以外の緩和は前向きに捉え要件の検討に当たる方向でまとまった。

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