2024/01/23 CCUS能力評価に有効な現場運用を/振興基金が懸念、施工体制登録など未設定散見

【建設工業新聞  1月 22日 1面記事掲載】

建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価(レベル判定)制度の浸透が急がれる中、能力評価に有効な就業履歴を蓄積する適正な運用が多くの現場で行われていない可能性が持ち上がっている。建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)が一部都道府県内の公共工事で運用実態を抽出調査したところ、適正に運用する現場は半分に満たなかった。CCUS上で「施工体制登録」「施工体制技能者(作業員名簿)登録」を設定していないのが要因と考えられる。振興基金は公共発注のモデル工事で適正運用を担保する加点基準や実施方法を採用するなど、発注者側からの後押しも必要とみる。

現場運用が適正でなければ、例え技能者がカードタッチしても職種や立場、資格の情報とひも付いて登録されないことがあるため、能力評価に有効な就業履歴としては蓄積されない。能力評価に必要な情報は施工体制登録と施工体制技能者登録の中で設定される。工事を直接請け負う元請と技能者を抱える下請のそれぞれで確実な対応が必要だ。

振興基金の調査では、ある都道府県内で2023年度に就業履歴の蓄積数が上位だった公共工事12現場の運用状況を確認。うち6現場は一部で施工体制技能者登録がないなど不適正な運用となっていた。施工体制登録が存在せず適正な運用方法を理解していないと思われるのも2現場あった。

振興基金は公共発注のモデル工事の加点基準が単なる事業者登録やカードリーダー設置などにとどまり、実施方法も含めて適正運用を確認する観点が希薄な現状を推察。工事完了後の実績報告にもCCUSの機能を活用すれば現場管理の効率化につながり、元請はモデル工事に手を出しやすくなり、発注者側の管理も容易になると訴える。

埼玉県は振興基金に事前相談した上で、モデル工事の試行要領を23年12月に改定=表参照。加点基準の確認に施工体制技能者登録を前提とする方法を採用し、適正な運用の確認まで踏み込んだ。就業履歴蓄積の有無はCCUS上の「就業履歴月別カレンダー」を元請に出力してもらい確認する。別の証明書類を求めずCCUSの機能で完結させる確認方法とし受発注者の負担軽減に配慮する。

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