2024/02/28 政府/高賃金の非ホワイトカラー職確保へ、業界団体がスキル標準整備

【建設工業新聞 2月 28日 1面記事掲載】

政府はデジタル化に伴い、ホワイトカラーの労働需要が減ることを念頭に置き、高賃金の「非ホワイトカラー職種」の確保を目指す。建設業や農業、運輸業などブルーカラー職種の中でもデジタルやロボットなどの技術が浸透し、デジタル技術を「使いこなす人材」が生まれていることに着目。これまでのブルーカラーともホワイトカラーとも異なる「非ホワイトカラー職種」を位置付け、同職種の労働生産性の向上や賃上げなどを促し、産業間での労働移動の円滑化につなげる。

非ホワイトカラー職種が備えるべきスキルの標準を各業界団体に整備してもらいたい考えだ。スキルの習得に必要な研修費用や学費などを政府が支援するといった官民連携の在り方も模索する。

建設業は労働集約型の産業に分類されるが、i-Constructionによる建設現場の生産性向上や、AIやロボットの活用が進展するなど知的産業としての進化が可能な領域に育ちつつある。

デジタル技術に精通したいわゆるホワイトカラー職種の人材が、ブルーカラー職種のデジタル技術やロボット活用などに取り組む現場に移行する場合、賃金が低くなるといった課題がある。そのため、こうした領域で活躍する「非ホワイトカラー職種」を位置付け、高賃金が確保できるよう仕組みを整える方向だ。

27日に首相官邸で新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開き、論点案の一つとして、非ホワイトカラー職の確保について方向性を打ち出した。論点案を基に議論を深め、成果を6月ごろの改定を見込む、新しい資本主義実行計画などへの反映を目指す。

同日の会議では、物価上昇を上回る持続的な構造的賃上げに向けた課題と方向性を議論した。中小企業や小規模企業以外にも、個人事業者やフリーランスの発展を想定し、取引関係上弱い立場に立たされる人たちと企業との取引適正化の方策も論点になった。若手の能力ある労働者への適切なポストの提供や、労働意欲を持つシニア層への労働機会の創出を見据え、ポスティング制度やジョブ型人事の導入など企業内での労働移行の円滑化も検討した。

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