2024/02/29 スコープ/「第3次担い手3法」の全容が明らかに
【建設工業新聞 2月 29日 12面記事掲載】
◇共通する3視点「処遇改善」「働き方改革」「生産性向上」
今国会への法案提出で一体的な改正を目指している建設業法と公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)、公共工事入札契約適正化法(入契法)の「第3次担い手3法」の全容が明らかになってきた。法改正の方向性で共通するのは「処遇改善」「働き方改革」「生産性向上」の三つの視点。各法それぞれのアプローチから法規制の強化を含めた環境整備や取り組み支援を加速する措置を講じる。先に見据えるのは、就労環境の改善を通じた担い手の確保による持続可能な建設業の実現だ。
第3次担い手3法は、政府提出の閣法となる業法・入契法の一括改正法と、議員立法となる品確法・入契法・測量法の一括改正法の2法案で構成する予定。前回の一体的改正だった「新・担い手3法」からは5年ぶりとなる。今回は業法、品確法それぞれの改正と連動する形で閣法と議員立法の両側面から入契法を改正。測量法の改正も、品確法の改正に合わせて議員立法で対応する。
各法の改正案に共通する最も大きな視点は、労働者の処遇改善だ。業法では適正な労務費の確保と行き渡りに向け、中央建設業審議会(中建審)が作成・勧告する「標準労務費」を基準として、著しく低い労務費による受注者の見積もり提出、注文者の見積もり変更依頼を禁止する措置を講じる。既存規定の「不当に低い請負代金の禁止」を受注者にも導入し、ダンピング対策を強化する。
業法では労働者の公正な評価に基づく適切な処遇確保を建設業者の努力義務とし、その取り組み状況を国が調査・公表する。品確法でも公共工事の「受注者の責務」として雇用する者の能力に応じた処遇確保を位置付け、国が労務費や賃金の支払い実態を把握、公表した上で必要な施策の実施に努める規定を追加する。
労務費へのしわ寄せ防止の観点で資材価格の高騰時などの価格転嫁対策を強化する姿勢も、業法と品確法で共通する。業法では資材高騰などの「恐れ(リスク)情報」を事前通知した上で受注者は請負代金などの変更を協議できると明記し、注文者には誠実に協議に応じる努力義務を課す。この規定を入契法では一段と強め、公共発注者は協議に応じることを義務とする。品確法ではスライド条項の運用基準の策定と、それに基づく契約変更までを「発注者の責務」とし、公共発注者全体で適切に運用するよう明確化する。
働き方改革に関連し、業法では受注者による工期ダンピングを新たに禁止する。品確法では週休2日の適切な実施に向け、受注者の努力義務規定に労働条件の例示として「休日」を追加。国による休日取得の実態把握や公表、地方自治体内の関係部局が連携した施工時期の平準化に努めるとする規定も明記する。
生産性向上ではICT活用の推進策が目立つ。ICT活用を念頭に国が現場管理の「指針」を作成し、特定建設業者や公共工事受注者に効率的な現場管理を努力義務化することを業法と入契法で打ち出す。こちらは元下間のデータ共有などを想定しているが、品確法では調査や施工、維持管理の各段階でICTを活用したデータの引き継ぎなどを推進。発注関係事務や維持管理の努力義務規定にもICT活用を加える。
これ以外に品確法では新技術を活用する際の適切な評価や予定価格への反映で社会実装を促進。災害時対応の充実・強化や地域の実情を踏まえた発注方式の活用など「地域の守り手」を維持するための方策も講じ、一連の法改正で担い手の確保に向けた新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の実現を目指す。
今国会への法案提出で一体的な改正を目指している建設業法と公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)、公共工事入札契約適正化法(入契法)の「第3次担い手3法」の全容が明らかになってきた。法改正の方向性で共通するのは「処遇改善」「働き方改革」「生産性向上」の三つの視点。各法それぞれのアプローチから法規制の強化を含めた環境整備や取り組み支援を加速する措置を講じる。先に見据えるのは、就労環境の改善を通じた担い手の確保による持続可能な建設業の実現だ。
第3次担い手3法は、政府提出の閣法となる業法・入契法の一括改正法と、議員立法となる品確法・入契法・測量法の一括改正法の2法案で構成する予定。前回の一体的改正だった「新・担い手3法」からは5年ぶりとなる。今回は業法、品確法それぞれの改正と連動する形で閣法と議員立法の両側面から入契法を改正。測量法の改正も、品確法の改正に合わせて議員立法で対応する。
各法の改正案に共通する最も大きな視点は、労働者の処遇改善だ。業法では適正な労務費の確保と行き渡りに向け、中央建設業審議会(中建審)が作成・勧告する「標準労務費」を基準として、著しく低い労務費による受注者の見積もり提出、注文者の見積もり変更依頼を禁止する措置を講じる。既存規定の「不当に低い請負代金の禁止」を受注者にも導入し、ダンピング対策を強化する。
業法では労働者の公正な評価に基づく適切な処遇確保を建設業者の努力義務とし、その取り組み状況を国が調査・公表する。品確法でも公共工事の「受注者の責務」として雇用する者の能力に応じた処遇確保を位置付け、国が労務費や賃金の支払い実態を把握、公表した上で必要な施策の実施に努める規定を追加する。
労務費へのしわ寄せ防止の観点で資材価格の高騰時などの価格転嫁対策を強化する姿勢も、業法と品確法で共通する。業法では資材高騰などの「恐れ(リスク)情報」を事前通知した上で受注者は請負代金などの変更を協議できると明記し、注文者には誠実に協議に応じる努力義務を課す。この規定を入契法では一段と強め、公共発注者は協議に応じることを義務とする。品確法ではスライド条項の運用基準の策定と、それに基づく契約変更までを「発注者の責務」とし、公共発注者全体で適切に運用するよう明確化する。
働き方改革に関連し、業法では受注者による工期ダンピングを新たに禁止する。品確法では週休2日の適切な実施に向け、受注者の努力義務規定に労働条件の例示として「休日」を追加。国による休日取得の実態把握や公表、地方自治体内の関係部局が連携した施工時期の平準化に努めるとする規定も明記する。
生産性向上ではICT活用の推進策が目立つ。ICT活用を念頭に国が現場管理の「指針」を作成し、特定建設業者や公共工事受注者に効率的な現場管理を努力義務化することを業法と入契法で打ち出す。こちらは元下間のデータ共有などを想定しているが、品確法では調査や施工、維持管理の各段階でICTを活用したデータの引き継ぎなどを推進。発注関係事務や維持管理の努力義務規定にもICT活用を加える。
これ以外に品確法では新技術を活用する際の適切な評価や予定価格への反映で社会実装を促進。災害時対応の充実・強化や地域の実情を踏まえた発注方式の活用など「地域の守り手」を維持するための方策も講じ、一連の法改正で担い手の確保に向けた新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の実現を目指す。
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