2024/04/16 国交省/特殊車両の走行時間規制を緩和、現場開所までの待機時間削減へ

【建設工業新聞 4月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は、自走式の建設機械などを含む特殊車両の走行規制を緩和する試行措置を8日に始めた。走行時間を前後1時間ずつ延長し、午後8時から午前7時までに拡大。多くの荷物を運べる特殊車両の稼働時間を増やし、運転手不足が懸念される物流の「2024年問題」に対応する。重機の移動に特殊車両を活用する建設業界にとっても、朝に走行可能な時間帯が広がり、現場開所までの待ち時間の削減といったメリットが期待できる。

国交省は一部の橋や交差点の安全を確保するため、特殊車両の走行時間を午後9時~午前6時に限定している。今回の試行措置によって、道路管理者が安全上の問題がないと認めた区間を対象に、走行時間を前後1時間ずつ広げた。同省によると、全国で規制対象となっている4・3万カ所の橋のうち約4割(1・7万カ所)で走行可能な時間帯が広がる見通しだ。

建設工事ではトラッククレーンなど自走式の建設機械に加え、ブルドーザーやバックホウなど重機の運搬にも特殊車両を利用する。従来は午前6時までに車両の移動を完了する必要があったため、現場が開所するまで待機時間が発生していた。規制緩和により朝の走行可能時間が午前7時まで延びたことから、待機時間も最大1時間程度減らせる可能性がある。

クレーン建設業界の関係者も「朝は遅く、夜は早く現場に行けるようになることで手待ち時間が減り、労働時間短縮が期待できる」との見解を示している。

走行には国など道路管理者からの通行許可が必要となる。同省は少なくとも1年を試行期間とし運用状況や安全性を検証。走行規制のさらなる緩和を求める運送業界の意見も踏まえ、今後の運用方針を検討する。

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