2024/05/23 衆院国交委/第3次担い手3法を可決、担い手の処遇・労働環境改善へ

【建設工業新聞 5月 23日 1面記事掲載】

建設業の担い手の処遇改善に向けた適正な労務費の確保と行き渡りなどの措置を盛り込んだ建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案が22日、衆院国土交通委員会で全会一致で可決された。議員立法となる公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と入契法、測量法の一括改正案も、同日の衆院国交委で与野党の共同提案の形で趣旨説明が行われ、その場で可決。「第3次担い手3法」として一体的な法改正に向けて大きく前進した。

同日の衆院国交委では17日の与党による質疑に続き、野党による質疑が行われた。改正法案は今後、衆院本会議で可決されれば参院に送られ、6月上旬にも成立する見込みだ。

国交省は業法と入契法の改正による効果を示す重要業績指標(KPI)として2029年度までに全産業を上回る賃金上昇率を毎年度達成し、技能者と技術者の週休2日を原則100%とする目標を掲げる。

この狙いについて問われた斉藤鉄夫国交相は「持続可能な建設業の実現には担い手の適切な確保が必要だ」と訴え、働き手の処遇や労働環境の改善にフォーカスして法的措置を講じることで「他産業との人材獲得競争を勝ち抜き、有能な若者が喜んで入職してくれるような建設業になることを期待している」と語った。

質疑の終局後、業法と入契法の一括改正案を採決し、可決した。続いて公共工事品確法と入契法、測量法の一括改正案が与野党7会派の共同提案として審議入り。自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の品確法改正プロジェクトチームで座長代理を務めた古川禎久衆院議員が趣旨説明を行い、一部の野党による質疑が行われた後に採決し、全会一致で可決した。

両法案の可決に当たって付帯決議も採択し、政府に求める改正法の運用上の留意点などを決議した。業法・入契法改正案では技能者の賃金水準の実態把握や標準労務費の適切な設定、民間発注者の理解を得た上での適正な労務費確保の働き掛けなどを求めた。

労働者の能力に応じた公正な評価に基づく賃金支払いにつながるよう、建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴の蓄積や能力評価判定の推進に向けた必要な施策なども要求。法施行に伴う工期の長期化や金額の負担が生じ得ることに国民全体の理解を得る取り組みを推進することも求めた。

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