2024/07/09 大阪府/健康に働ける環境構築へ猛暑日考慮し工期設定、8月1日に積算基準改定

【建設工業新聞 7月 9日 10面記事掲載】

大阪府は、8月1日に土木工事の積算基準を改定し、工期設定の際に考慮する作業不能日に「猛暑日」を新たに加える。国土交通省の中央建設業審議会(中建審)が3月に改定した「工期に関する基準」に対応し、猛暑日による現場の不稼働を認めるようにする。熱中症の危険性が高まる猛暑日が増加傾向にある中、作業員が健康に働ける現場を構築し、インフラ整備を支える次代の担い手の確保と育成、定着を後押しする。

国交省が2024年度当初に行ったアンケートによると、全国の都道府県・政令市のうち、天候などによる作業不能日に猛暑日を考慮していない自治体は都道府県で18団体、政令市は6団体もあった。近畿では大阪府と堺市が該当した。国交省は自治体に対して直轄工事と同様に猛暑日を考慮した工期設定を行うよう求めている。

これを受け、府は「建設工事積算基準(都市整備部)」を国交省の直轄工事を踏襲する形で改定することを決めた。

毎年8月の基準見直しに合わせ、作業不能日に該当する気象事項として猛暑日を追加。具体的には暑さ指数(WBGT)が午前8時~午後5時で「31以上」となる時間を日数換算した数値の過去5年平均を作業不能日とみなす。従来の「休日」や「降雨日」「降雪期」「出水期」とともに、工期設定で考慮する「不稼働日」を見積もるための雨休率に加味する。

府は当初契約時に設ける単価適用日が8月1日付以降の土木工事案件で新基準を適用していく。建築と農林水産の工事案件は未定としている。堺市の土木・建築部局も未定。

不稼働日は「準備期間」「施工に必要な実日数」「後片付け期間」とともに工期を構成する重要な要素で、府の発注工事の特記仕様書に不稼働日を考慮する旨が明示されている。国交省が実際の道路改良工事で猛暑日を加味し積算し直したケースでは、適用前に365日だった工期が新基準では、猛暑日分として12日を追加する必要があったという。

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