2024/08/07 上限規制特別条項、1月時点で超過技術者いる企業17%/国交省が民間工事調査

【建設工業新聞 8月 7日 1面記事掲載】

民間工事に焦点を当てて工期設定や休日取得の実態を1000社超の建設会社に聴取した国土交通省の調査で、直接雇用する技術者の時間外労働が上限規制の特別条項を超過すると回答した企業が17・2%に達したことが分かった。上限規制適用前の1月1日時点の回答とはいえ、元請を中心とする全国各地の建設会社が現場従事者の働き方改革に苦慮する実態を突き付けた格好だ。一方、工期設定で受注者側の要望が受け入れられるケースが以前より増え、週休2日の取得割合も増えるなど就労環境の改善傾向も読み取れる。

2023年度の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」の結果を公表した。同調査は21年度から毎年度実施。今回は22年12月以降に請け負った民間工事の実態について1302社が回答した。

新たな設問として現場従事者の上限規制の超過実態を聴取。上限規制で原則とする月45時間・年360時間を超過する技術者がいる企業は35・8%。そのうち年720時間などの特別条項を超過する技術者がいる企業は48・0%で、全体の17・2%を占めた。

今回の調査では元請主体の企業が主に回答しているが、直接雇用する技能者の状況も聞いた。上限規制の原則を超過している技能者がいる企業は12・0%。そのうち特別条項も超過している技能者がいる企業は39・4%で、全体の4・7%を占めた。

現場従事者の平均的な休日取得状況を「4週8休」以上とする割合は、この1年で倍増した。技術者は22年度が11・7%で23年度が21・2%、技能者は22年度が11・0%で23年度が25・8%だった。技術者と技能者ともに最多回答は依然「4週6休」だが、両方で「4週7休」も増加しており休日確保は全体として改善傾向にある。

当初契約時の工期設定で「注文者と協議し受注者の要望も受け入れられることが多い(または少なくない)」との回答は、22年度の52・5%から23年度は63・3%に伸びている。相対的に「協議を依頼しても応じてもらえないことが多い」との回答は22年度の12・5%から23年度は6・6%に半減した。工期不足に休日出勤や早出・残業で対応するケースが依然多いが作業効率化に取り組む企業も年々増加。「工程の合理化」は前年度比6・8ポイント増の34・4%、「工法変更」は4・0ポイント増の22・4%だった。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る