2024/10/15 衆院選公示・主要政党が公約/防災対策の具体化問われる、建設業賃上げへてこ入れも

【建設工業新聞 10月 15日 1面記事掲載】

衆院選が15日に公示を迎え、選挙戦が本格的にスタートする。年初から相次ぐ自然災害を反映してか、主要政党が11日までに発表した公約では防災対策の強化を重視する姿勢が目立つ。自民、公明両党はともに「国土強靱化実施中期計画」の早期策定に触れた。持続的な経済成長に向けた「賃上げ」実現が各党共通の政策課題となっており、建設産業政策のてこ入れを訴える党も多い。27日の投開票に向けた具体的な論戦に注目だ。

自民党は石破茂総裁の肝いりの「防災庁」設置に向けた準備を進めると公約に明記した。国土強靱化対策を継続的・安定的に推進する意義を強調しつつ、実施中期計画は「早急に策定する」との表現にとどまり、現時点で策定時期や事業規模は打ち出していない。持続的・構造的な賃上げに触れる中で建設業や運輸業を具体例として取り上げ「(改正建設業法などの)法に基づいたガイドラインなどを示し、業界外も含めた周知の徹底、価格転嫁の円滑化を図る」と表明した。

公明党は「安全・安心の防災大国」を重点政策の一つに据える。「5年で20兆円規模の(国土強靱化)実施中期計画を年度内に策定するよう政府に働き掛ける」と明確な方針を示し、ハード・ソフト両面の中長期的な対策強化をうたう。石破政権の「防災庁」設置構想にも共鳴し、大規模災害のデータ解析・集積で予知能力を向上させ災害応急対策を強化するとした。

立憲民主党は7項目の公約のうち「地域再生」で防災対策の強化に言及した。「耐震化や河川改修、山林保全、老朽インフラの維持・更新などの事前防災」を推進。特に深刻さが増しているインフラ老朽化を念頭に「生活密着型の事業を優先しながら公共事業の選択と集中を図る」。グリーンインフラ整備も重視する。

日本維新の会は防災対策をメーンの政策として打ち出していないが、災害時の初動対応の改善策などを提案する。一方、国民民主党は防災インフラ整備に重点を置き、公共インフラの点検・維持管理や計画的な更新を進めるための「社会資本再生法(仮称)」の制定、流域治水やグリーンインフラの取り組みを同時に進める「国土柔軟化政策」を提唱する。

共産党は賃上げと一体で「1日7時間・週35時間労働制」への移行を国の目標とし、建設業を含む人手不足分野での移行計画の策定を義務付けるとした。

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