2024/10/25 改正業法・入契法の運用の方向性・6/公共工事、入札時に必要な対応を順次規定

【建設工業新聞 10月 25日 1面記事掲載】

改正建設業法で規定された新たな規制措置に合わせ、公共工事の入札・契約の在り方も適切に変える必要がある。資材価格高騰などの「恐れ(リスク)情報」の通知を起点とした契約変更協議の円滑化措置などの施行が12月に迫り、改正業法の実質的な運用がいよいよ始まる。リスク情報として通知する内容やタイミングなど詳細な規定を近く整理。これに合わせ公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく適正化指針も改定し、地方自治体などの公共発注者に対応を促す。

改正業法は公布から半年以内の12月までに契約変更協議の円滑化措置などが施行。続いて「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとした見積もり・契約規制、受注者による原価割れ契約や工期ダンピングの禁止が1年半以内の2025年12月までに施行する。国土交通省は各規定の施行に合わせ、政省令やガイドライン、建設工事標準請負契約約款の整備・改正を進める流れとなる。

リスク情報の通知に関する省令やガイドラインの案が近くまとまり意見募集の手続きに入る。公共工事では入札時の対応として、入札参加者が発注者にリスク情報を提供することを想定。具体的な提供方法を固め、受発注者間の「建設業法令順守ガイドライン」に公共工事での運用について明記する予定だ。

契約変更協議を申し出可能な事象は省令で規定する。ただ公共工事の場合、スライド条項などが既に規定されているため、実際には既存の仕組みの適切な運用をさらに後押ししていく内容になる見通し。契約変更協議に誠実に応じることを改正入契法で公共発注者の義務と位置付け、スライド条項などの適切な運用に一段と強制力を持たせる。

標準労務費を大きく下回る「著しく低い労務費」による見積もり提出や見積もり変更依頼の禁止も、入札時点で実効性を確保する措置を講じる。改正入契法では入札金額内訳書に労務費などを記載するよう明確化した。

国交省は現時点の方向性として内訳書の「ひな型」の作成・普及、発注者による内訳書の確認方法の整理などの対応方策を示す。発注者が見積書の金額変更を要求する場合の留意点も整理する。具体的には標準労務費に関する中央建設業審議会のワーキンググループで議論が進む見通しだ。

入契法の適正化指針は、段階的な法施行に合わせ2回に分けて改定する予定。初回の改定では契約変更協議の誠実な実施など円滑な価格転嫁に向けた環境整備について明記。建設キャリアアップシステム(CCUS)などのICTを活用した公共工事の現場管理や発注者による施工体制確認も位置付ける。公共発注者には同指針に従って必要な措置を講じる努力義務に基づき対応を求める。

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