2024/09/18 改正業法・入契法の運用の方向性・4/工期確保へ見積書交付とリスク通知を
【建設工業新聞 09月 18日 1面記事掲載】
5年前の建設業法改正で「工期」の概念が業法に導入され、「著しく短い工期」による請負契約が禁止となった。時間外労働の罰則付き上限規制が適用され工期の適正化が一段と求められる中、今回の業法改正では工期ダンピングの規制措置を強化。発注者を含む注文者の行為だけでなく、新たに受注者による工期ダンピングも禁じる。下請や現場従事者へのしわ寄せにつながる工期不足が引き起こされない環境をつくる。
法改正に先立つ3月には中央建設業審議会(中建審)が「工期に関する基準」を改定した。上限規制の適用を踏まえ適正工期を確保した見積もりを受注者が提出し、その内容を発注者が確認、尊重するよう努めるとの規定を新設。受発注者の責務として見積もり段階で互いに求められる具体的な行動を書き加えた。
改正業法でも契約当事者間で工期の見積もりと、その考慮が求められることを明確に打ち出す。受注者には工事種別ごとの労務費や材料費を内訳明示した「材料費等記載見積書」の作成を努力義務とし、この見積書に「工程ごとの作業およびその準備に必要な日数」の記載を必須とした。注文者には交付された見積書の内容を考慮するよう努力義務を課す。
契約前の「恐れ(リスク)情報」を起点に契約変更協議を円滑化する仕組みは、適切な価格転嫁だけでなく適切な工期変更も念頭に置く。資材の入手困難や納入遅延など工期に影響を及ぼす事象についても、注文者への事前通知を受注者に義務化する。このリスク情報に基づき受注者が工期変更の協議を申し出た場合、注文者には誠実に応じる努力義務が課される。
これらの結果として「著しく短い工期」で請負契約を締結した場合、発注者には国土交通相などが勧告・公表の措置を取る。建設業者は注文者の立場だけでなく、受注者の立場であっても違反が認められれば指導・監督処分の対象となる。
3月改定の「工期に関する基準」は上限規制への対応に迫られた緊急措置的な意味合いが強い。それだけに改定案を議論した同月の中建審総会では、さらなる基準見直しの検討を求める声もあった。設計変更や設計未確定の場合でも適正工期が確保される在り方などが課題に上がる。基準内容の具体化や実効性の確保に向けた検討が今後進む見通しだ。
法改正に先立つ3月には中央建設業審議会(中建審)が「工期に関する基準」を改定した。上限規制の適用を踏まえ適正工期を確保した見積もりを受注者が提出し、その内容を発注者が確認、尊重するよう努めるとの規定を新設。受発注者の責務として見積もり段階で互いに求められる具体的な行動を書き加えた。
改正業法でも契約当事者間で工期の見積もりと、その考慮が求められることを明確に打ち出す。受注者には工事種別ごとの労務費や材料費を内訳明示した「材料費等記載見積書」の作成を努力義務とし、この見積書に「工程ごとの作業およびその準備に必要な日数」の記載を必須とした。注文者には交付された見積書の内容を考慮するよう努力義務を課す。
契約前の「恐れ(リスク)情報」を起点に契約変更協議を円滑化する仕組みは、適切な価格転嫁だけでなく適切な工期変更も念頭に置く。資材の入手困難や納入遅延など工期に影響を及ぼす事象についても、注文者への事前通知を受注者に義務化する。このリスク情報に基づき受注者が工期変更の協議を申し出た場合、注文者には誠実に応じる努力義務が課される。
これらの結果として「著しく短い工期」で請負契約を締結した場合、発注者には国土交通相などが勧告・公表の措置を取る。建設業者は注文者の立場だけでなく、受注者の立場であっても違反が認められれば指導・監督処分の対象となる。
3月改定の「工期に関する基準」は上限規制への対応に迫られた緊急措置的な意味合いが強い。それだけに改定案を議論した同月の中建審総会では、さらなる基準見直しの検討を求める声もあった。設計変更や設計未確定の場合でも適正工期が確保される在り方などが課題に上がる。基準内容の具体化や実効性の確保に向けた検討が今後進む見通しだ。
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