2025/11/06 八潮陥没事故対策検討委が第3次提言案/インフラ全体を大転換/統合マネジ構築を

【建設工業新聞 11月 6日 1面記事掲載】

埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け国土交通省が設置した有識者会議が5日、インフラ全般も対象にした第3次提言案をまとめた。第1次国土強靱化実施中期計画を踏まえた重点的な財政支援や、計画から設計、整備、修繕、改築までを一体的に考える「統合的なマネジメント」体制の構築などを求めている。月内に提言を決定する。

「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」(委員長・家田仁政策研究大学院大学特別教授)が9回目のを開いた。提言案は管路とインフラ全般のマネジメントで在り方を示している。

管路はメリハリの効いた点検・調査の徹底、再構築のメリハリという「二つのメリハリ」、テクニカルな見える化、市民への見える化の「二つの見える化」に管路マネジメントを転換するよう求めた。頻度を明確にすることや、方法の高度化、結果のデジタル・データベース化、費用負担への理解などを進めるよう提案した。

管路の対応はインフラ全般に通じるとし、同検討委は新たなインフラマネジメントとして、▽二つの見える化▽二つのメリハリ▽現場に「もっと光を」▽統合的マネジメントの構築▽改革推進のためのモーメンタム(機運)-の五つの取り組みを提唱した。

インフラメンテナンスの関連業界や現場の担い手を「エッセンシャルジョブ」とし、「もっと光を」当て、業界力を高める努力が必要とした。過酷な労働環境を改善しつつ、現場条件に合った賃金が払われるよう、歩掛かり設定や積算方法について自治体も参考になる検討を求めた。

設計段階からメンテナビリティ(維持管理の容易性)や、リダンダンシー(冗長性)を確保することも必要と強調した。地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)の推進や、予防的マネジメントのための財政支援や制度改正の検討も盛り込んだ。家田委員長は「インフラ全体の大転換を図る。かじ切りの方向を決めていく」と話した。

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